2018年秋に当社会長の河合伴治が、知人からの紹介で児童兵に関する講演会を聴講していたところ、チョコレートの原料であるカカオ豆の生産も児童労働があることを知りました。「夢のある安くておいしいお菓子を創造する企業を目指します」を経営理念に掲げて菓子作りをしているにも関わらず、子どもたちのみならず多くの方の笑顔を作るお菓子が子どもの笑顔を奪ったうえで作られている事実を知り、「作る人も食べる人も、みんなが笑顔になるように」という思いから児童労働問題に専門的に取り組むNGO法人「ACE(エース)」をご紹介頂きました。ACEはガーナやインドで子どもたちを危険で有害な児童労働から守り、教育を支援するとともに住民の自立を支援する活動を行なっている非営利団体です。これまで当社ではガーナ国内へ現地の需要に応じた教育施設の建設や学習サポートを行ってきましたが、学習機会に恵まれることのない子どもたちが現地には多数存在していることを知り、ガーナ産原料を使用する側として何とかしたいとの思いからスマイルカカオプロジェクトを立ち上げました。
児童労働撤廃を目指し、段階的に児童労働撤廃に取り組む原料の比率を増やしていき、2025年までに自社商品に使用するすべてのカカオ原料について、「児童労働撤廃に取り組む原料(スマイルカカオ)」へ変更することを目標としています。また、児童労働撤廃の目標において有楽製菓ができることには限りがありますので、NGOなどを通して児童労働問題を解決するための活動を支援しています。
※2024年にスマイルカカオへの切り替えが完了しました
カカオを挟んで両側に二つの笑顔を描くことで、「どこにいる子どもたちも同じ幸せを感じられる未来を」という思いを込めてデザインしました。
児童労働撤廃に取り組むカカオ原料を使用した商品についてはロゴマークを入れていく予定ですが、現在は定番商品で対応しているものにとどまっております。
100%切替が終了している商品でもロゴマークが記載されていない商品もございます。
「児童労働」とは、子どもの教育や健康的な成長を妨げる、法律で禁止されている子どもの労働のことを指します。国際労働機関(ILO)により国際条約で定義されている、15歳未満(途上国は14歳未満)、つまり義務教育を受けるべき年齢の子どもが教育を受けずにおとなと同じように働くことと、18歳未満の危険で有害な労働について「児童労働」としています。
国際社会共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)は17の目標に分けられています。その中の「目標8」には、持続可能な経済成長と働きがいのある人間らしい雇用の推進を目指すために必要な12の項目が含まれています。児童労働に関しては「目標8.7」の中で、2025年までに少年兵の徴募や利用を含むあらゆる形態の児童就労を撲滅すると明記されています。
サステナブル・プログラムで管理されたカカオ原料で、プログラムにはCLMRS(児童労働監視改善システム)によりモニタリングする機能を有しております。
世界で生産されるカカオ豆の総計は約502万トン※で、うち約70%は西アフリカ諸国で生産され、その多くがコートジボワールで、次いでガーナとなっています。この2カ国だけで、約156万人の子どもが、カカオの生産過程で児童労働しているという調査結果(2020年、シカゴ大学NORCレポート)がありますが、児童労働により生産されているカカオの数量は把握できておりません。
※:国際ココア機関(ICCO)カカオ統計2020/21第2刊 2020/21年度推定値
ココアホライズン財団の認証カカオ原料や不二製油㈱独自のプログラム(サステナブル・オリジン)によるカカオ原料などを使用しています。
認証カカオ(サステナブル・プログラムで管理されたカカオ)が流通過程で他の⾮認証カカオと混合される認証モデルです。物理的には⾮認証カカオも含んでいますが、購⼊した認証農園とその数量は保証されます。
弊社では、カカオ原料に支援金を加えて通常より高く購入することで、カカオ産地の課題を改善する活動の支援をしております。
児童労働撤廃に向けた取り組みのプログラムの中には、児童労働を禁止するだけではなく、農家へのカカオ栽培技術指導による収穫量の増大、農業の隙間時間を使った副業の支援による収入の安定化など、複合的に暮らしを改善し、結果として児童労働が不要となる環境を目指す取り組みとなっています。
チョコレート菓子メーカーとしてカカオから取り組み始めました。今後、カカオ以外についても取り組みを検討していきます。
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